痴漢で逮捕された!どうなる?
今回は、実際に弊所の弁護士が担当した刑事事件の解決事例をご紹介します。
事案概要
電車内で、男性が女性に痴漢をして逮捕された案件です。
朝の通勤ラッシュ時、満員の電車内で、男性が女性のお尻をスカートの上から触りました。女性から腕を掴まれ、「一緒に警察に行きましょう」と言われ、駅員室に行きました。その後、駅員室に警察が来て、逮捕されました。
被疑罪名は、東京都の迷惑防止条例違反です。
痴漢は不同意わいせつ罪じゃないの?
これはよく質問されるのですが、不同意わいせつ罪と迷惑防止条例違反とは、実務上、服や下着の中に侵襲した(手を入れた)かどうかで分かれることが多いです。
逮捕から1日目の弁護活動の内容
午前中に逮捕されたので、午後に警察署から弊所に連絡がありました。夕方に接見に行き、契約となって、弁護活動を開始しました。
まずは奥様に連絡をして、身元引受書と上申書を作成していただきました。
また、本人に反省文と誓約書を作成してもらいました。
ご本人と、会社への協力をするかどうか相談をして、今回は内容が痴漢ということで、会社へのアプローチはしないことにしました。
会社の協力がなくても大丈夫なの?
今回は、会社に知られると本人への不利益が大きい可能性があるので、逮捕された段階では伝えませんでした。もしも勾留決定されてしまった場合には、長期の身柄拘束となるので、改めて会社に伝えるかどうかを検討する必要があります。
ひとまず、会社には、奥様から体調不良でお休みする旨を連絡していただきました。
通常は、会社の方に協力をしてもらった方が身柄解放の可能性が高まります。関係の深い同僚や上司、共同経営者などがいる場合は、協力をお願いすることも多いです。
逮捕から2日目の弁護活動の内容
逮捕された方と検事が面談する日です。
検事は彼と面談をして、勾留請求するかどうかを決定します。
私たち弁護士は、この面談よりも前に、勾留請求に関する意見書と、前日に奥様や本人に用意していただいた書面を提出しました。また、被害者と示談交渉するために、被害者の氏名や連絡先の開示を希望しました。
結論として、検察官は勾留請求しました。
逮捕から3日目の弁護活動の内容
この日は、ご本人が裁判所に行って、裁判官と面接する日です。
裁判官は、検察官が請求した勾留を認めるか否かの判断を行います。
弁護士は、面談よりも前に、勾留請求に対する意見書と、準備した書面を提出しました。また、被害者との示談交渉を希望しており、既に検察官に対して、被害者の氏名や連絡先の開示を希望していることも伝えました。
結果、裁判官は、勾留請求を却下しました。
検察官は、この却下決定に対して、東京高等裁判所に対して不服申し立てを行ったが、結論は変わりませんでした。
その後は、被害者と示談することができて、不起訴処分で終結することができました。
裁判所が勾留決定をしなかった理由は?
まず一つは、加害者と被害者が顔見知りではなかったため、二次被害が起きる可能性が極めて低いと判断されたことです。
また、仕事の態様も影響します。
例えば、アルバイト店員と大手企業の部長であれば、大手企業の部長の方が身柄解放されやすいです。その他にも、罪の重さや、持ち家かどうかなど、さまざまな要因が重なって、裁判所は勾留決定しなかったのだと考えられます。
加害者の使用沿線を変えてもらえる?
まず、身柄解放よりも前に作成する本人の《反省文》や《誓約書》の中に、少なくともこの事件が終結するまでは、別のルートを使用して通勤する旨の内容を記載し、約束してもらいます。
その後、被害者の方の希望があれば、事件終結後も別のルートを使用するといった内容を示談書に記載し、約束することも珍しくありません。
お困りの際は是非ご相談ください
刑事事件は、スピードが命です。家族や大切な方が逮捕されてしまったなど、お困りの方はなるべく早めにご相談ください。
より詳しい解説は下記の動画をご覧ください。