2024.01.12

配偶者からDVを受けている場合、離婚できる?

※このコラムのDVとは、殴る、蹴る、つねる、髪を引っ張るなどの身体的な暴力を想定しています。

法律で決められた、裁判所が離婚を認めるパターンは5つあり、これらは民法第770条によって定められています。

3つのパターンに関して、詳しい解説は下記のコラムをご覧ください。
2023年10月31日掲載コラム『裁判で離婚が認められるのは、どんな場合?《民法770条を分かりやすく解説》

DVは、暴行罪や傷害罪などの刑法上の罪に該当する行為です。このような犯罪を犯す人とは結婚生活を続けられないとして、民法770条の5番目に規定されている「五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当すると主張して離婚を求めることになります。そのため、DVを理由として離婚をすることは可能です。

また、離婚するだけでなく、相手に慰謝料を請求したり、戦略によっては長期間にわたって生活費を支払い続けさせるなど、もっと大きな経済的利益を得られる可能性もあります。

離婚するために注意すること

法律上、配偶者からDVを受けた場合、それを理由に離婚をすることができます。

しかし、DVを理由として離婚を求める場合に注意しなければいけないことがあります。それは、〈暴力があったこと〉と、〈暴力があったことを証明できること〉は大きく違うということです。

ご相談にいらっしゃる方々は、DVの証拠を持っていないことが多いです。あるいは、インターネット等で独自に調べて証拠を持ってきてくれても、不完全なことが多いです。

DVを理由に離婚を考えている場合、円滑に、かつ有利に進めるためにも、なるべく早めに弁護士に相談することをおすすめします。

DVの証拠として強力なもの

・動画
 →最も効力が高いのは動画です。ただ、DVの受けている動画を撮るのはかなり難易度が高いです。

・録音
 →録音は音だけなので、一見〈どういう暴力があったのか〉、〈どういう怪我が生じたのか〉が分からないように思えます。しかし、暴力行為があった事実を証明できるので強力です。また、音声のなかで、声が詰まって苦しそうな音があれば首を絞められた事実が推認できるかもしれませんし、打撃音が確認できれば肌が露出している部分を殴打された事実が推認できるかもしれません。皆さんが思っている以上に、音声から得られる情報は多いです。
ただし、暴力があったこと自体は証明できたとしても、〈どういう暴力があったのか〉、それによって〈どういう怪我が生じたのか〉という部分に補足が必要ですので、録音のデータにプラスして、写真、日記、診断書等を補足することが必要です。

DVの証拠として弱いもの

・怪我の写真
 →怪我が生じたという事実は証明することができます。しかし、写真だけだと、何が原因でその怪我が生じたのかが分かりません。

・DVの内容等を記した日記
 →実際に暴力がなくても日記をかけてしまいます。また、実際にあった暴力とは異なる内容を書くこともできてしまいますので、証明力が弱いです。

・怪我の診断書
 →怪我が生じたという事実は証明することができます。しかし、診断書だけだと、何が原因でその怪我が生じたのかが分かりません。診断書に、何が原因で怪我が生じたのか書いて貰う方もいますが、それは〈あなたが伝えた内容を医師が診断書に記載しているだけ〉と判断される可能性があるため、日記と同じ程度の効力になってしまいます。

DVを理由に離婚を考えている場合、弁護士にご相談ください

配偶者やパートナーからDVを受けている場合、まずはご自身やお子様の身の安全を確保しましょう。

詳しい解説は下記のコラムをご覧ください。
2023年10月31日掲載コラム『DVを受けている。どこに相談すれば良い?

その上で、相手と直接交渉が難しい場合や、なるべく有利に離婚を進めたい場合、なるべく早い段階で弁護士にご相談されることをおすすめします。

解説動画

より詳しい解説は下記の動画をご覧ください。