2023.10.31

裁判で離婚が認められるのは、どんな場合?《民法770条を分かりやすく解説》

法律で決められた、裁判所が離婚を認めるパターンは5つあります。1つめから4つめは、具体的な事情によって離婚を認める場合です。これらに該当していれば、離婚が認められる可能性が極めて高いです。

5つめは、抽象的で補充的な規定です。法律を読むだけでは、どういう事情があれば離婚が認められるか分からないので、過去の裁判例を調べて、裁判所がどのような事情を重視しているのかを分析する必要があります。

離婚が認められる5つのパターン(民法第770条)

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

5つのパターンを具体的に解説

一の「不貞な行為」とは、肉体関係=性交渉=SEXのこと。一般論でいう「不倫」とは少し意味が違います。
一般的にいう「不倫」は、人それぞれ線引きが違います。2人きりで出かけたら、手を繋いだら、キスをしたら、「好きだよ」「愛しているよ」と言ったら…など。
でも、それらは〈法的な不倫〉ではありません。法的にいう「不倫」=「不貞な行為」の境界線は、〈肉体関係があるかどうか〉です。

二の「悪意で遺棄」とは、相手が、同居・扶助せず、またそれが社会的・倫理的に非難される場合のことをいいます。
例えば、夫が、特に非のない妻子を家から追い出して、生活費を渡さなかった場合が当てはまります。

三、四はそのままの意味ですので、解説を割愛します。

五は、色々な事情を総合的に考慮して、「婚姻を継続し難い重大な事由がある」と認定させることが重要となります。
裁判所が重視するのは別居期間です。目安としては、婚姻期間が3年未満であれば、1年以上の別居、婚姻期間5年以上であれば、3年程度の別居があれば離婚が認められる可能性が高まります。
話し合い→調停→裁判という全ての行程は、おおよそ1年半以上かかるので、早めに行動を開始することが得策です。

〈不貞行為〉を認める確実な証拠とは?

  • 性交渉が撮影された映像、性交渉中の録音データ
  • 相手と上半身裸で寝ている写真
  • ラブホテルへの出入りの写真、泊りがけの旅行に行っている写真

不貞行為を認める確実な証拠に関して、詳しい解説は下記のコラムをご覧ください。
2023年9月29日掲載コラム『不倫の確実な証拠となるもの3選

〈離婚〉は法律で定められています

法律で決められた、裁判所が離婚を認めるパターンは5つあります。ご自身がどのような離婚原因を主張するのかじっくり検討することが必要です。

解説動画

より詳しい解説は下記の動画をご覧ください。