夫婦関係が破綻していても、不貞の慰謝料は貰えるの?
2023年10月27日に掲載したコラムに関連するTikTokの動画に、以下のコメントを頂きました。コメントありがとうございます。
2023年10月27日掲載コラム『不倫をされた場合の慰謝料はどのくらい?』
別居してから5年以上の年月が経過していると、それは長期間にわたって別居していることから、夫婦関係が破綻していると評価される可能性が高いです。
そこで、今回は、頂いたご質問をもとに、『夫婦関係が破綻していても、不貞の慰謝料は貰えるのか』についてご説明します。
夫婦関係が破綻していると判断される例
夫婦関係が破綻していると評価できるかは、基本的には別居して相当期間が経過しているか否かによって判断されます。他方で、別居して間もない時期で、会ったり、連絡をとっていたりすると、夫婦関係が破綻していたと評価されない可能性があります。
別居してからどのくらいの期間が経過すれば、夫婦関係が破綻したと評価されるのかは、婚姻期間や、別居の経緯や、別居後の生活状況などを検討しなければいけませんが、1つの目安は6ヶ月程度です。
ちなみに、同居していても夫婦関係が破綻していると評価されることもありますが、極めてハードルが高いので、お悩みの方は弁護士にご相談されることをおすすめします。
慰謝料を請求するために必要な2つの条件
このコラムでは、説明が分かりやすいように、慰謝料請求したい人を〈妻〉、不貞している人を〈夫〉、その交際相手を〈女性〉といいます。
慰謝料を請求するための条件は、民法709条に記載されています。
民法709条(不法行為による損害賠償請求)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
つまり、慰謝料を請求する人は、以下の要件が揃っていることを説明しなければなりません。
①〈故意または過失によって、権利または法律上保護される利益を侵害したこと〉
法律上保護される利益は、不貞慰謝料請求事件だと、平穏な夫婦共同生活を維持する利益です。つまり、わざと、または不注意による行為で、平穏な夫婦共同生活を維持する利益を侵害された、ということ説明する必要があります。
②〈法律上保護される利益が侵害されたことによって損害が発生したこと〉
慰謝料というのは精神的苦痛に対する賠償ですので、ここでいう「損害」は、平穏な夫婦共同生活を維持する利益を侵害されたことで精神的苦痛が生じたということです。
慰謝料請求をする側は、①や②の要件が揃っていることを証明しなければなりません。
想定される相手の反論
既に夫婦関係が破綻していて、平穏な夫婦共同生活を維持する利益がないのであれば、法律上保護される利益を侵害してないと主張されてしまいます。
また、法律上保護される利益を侵害していないし、妻には平穏な夫婦共同生活を維持する利益がないのだから「損害」も発生していないと主張されてしまいます。
夫婦関係が破綻していると、慰謝料は貰えない可能性が高い
夫婦関係が破綻していると判断されてしまうと、不貞の慰謝料を貰うことはできません。ただし、破綻しているかどうかは、当事者間の関係性、交際状況、証拠の状況、紛争の進捗状況などをふまえて検討することが必要ですので、お悩みの方は是非ご相談ください。
解説動画
より詳しい解説は下記の動画をご覧ください。