2024.07.26

痴漢と示談と犯人の処分

今回は、実際に弊所の弁護士が担当した刑事事件の解決事例をご紹介します。

事案概要

電車内で、男性が女性に痴漢をして逮捕された案件です。

終電に近い電車内、被疑者は、前に立っていた女性のスカートに体液をかけました。他の乗客が異変に気付き、取り押さえられ、駅員に引き渡されたのち、警察に逮捕されました。

被疑罪名は、東京都の迷惑防止条例違反です。

逮捕から2日目の弁護活動の内容

逮捕が深夜だったので、翌日の午前中に警察署から弊所に連絡がありました。昼過ぎに接見に行き、契約となって、弁護活動を開始しました。

まずは奥様に連絡をして、身元引受書と上申書を作成していただきました。
また、本人に反省文と誓約書を作成してもらいました。

ご本人と、会社への協力をするかどうか相談をして、今回は内容が痴漢ということで、会社へのアプローチはしないことにしました。

同時に、示談の話を進めるため、被害者の連絡先を教えて欲しいと警察に要請しました。その日中に警察から連絡があり、被害者が我々に連絡先を教えることに同意してくれたので、すぐに示談交渉を開始しました。

逮捕から3日目の弁護活動の内容

逮捕された方と検事が面談する日です。
検事は彼と面談をして、勾留請求するかどうかを決定します。

私たち弁護士は、この面談よりも前に、勾留請求に関する意見書と、前日に奥様や本人に用意していただいた書面を提出しました。
また、すでに被害者と示談交渉を開始している旨を伝えました。

結論として、検察官は勾留請求しました。

この日の夜、被害者との示談がまとまりました。

逮捕から4日目の弁護活動の内容

この日は、ご本人が裁判所に行って、裁判官と面接する日です。
裁判官は、前日に検察官がした勾留請求を認めるか否かの判断を行います。

弁護士は、面談より前に、勾留請求に対する意見書と、準備した書面を提出しました。また、被害者との示談が成立したことを伝え、示談書を提出しました。

結果、裁判官は、勾留請求を却下しました。

その後は、検察官と協議をして、不起訴処分でこの事件を終結することができました。

示談が成立していると不起訴処分になる?

示談が成立していると、不起訴処分となる可能性は高まります。
ただし、示談が成立しているからといって100%不起訴処分になるかというと、そうではありません。

被害者がいる事件ですと、その被害者の処罰感情や、被害者が被った被害そのものが回復されているかどうかという事情がとても重要な要素になります。

示談することによってそれらが解消されているのであれば、検察官が不起訴処分と判断する可能性が高くなります。

「許せないから示談しない」はアリなのか?

そのような選択もアリです。
しかし、一口に《示談》といっても、その概念には様々な要素が含まれています。

一般的に、示談というと、お金をもう代わりに加害者と許すとか、被害届を取り下げるというイメージがあるかと思います。
そのなかには、「お金をもらう」、「加害者を許す」、「被害届を取り下げる」という3つの要素があります。
これらを一緒くたに考えず、分けて考える、自分に有利な要素だけ取り出そうとすることが大事です。

つまり、金銭に関する問題だけを書面に記載して、処罰を求めないとか、加害者を許したとか、被害届を取り下げるという部分は記載しない、ということも可能です。 ご自身が認めたくないと思う部分は記載しないという選択もできますので、まずは信頼できる弁護士に相談されるのが良いと思います。

被害者側でも弁護士をつけた方が良い?

我々弁護士の立場からすると、つけていただいた方が良いとは思います。

しかし、慰謝料や損害賠償金と弁護士費用を比較してみると、経済的な側面で弁護士をたてた意味がなくなってしまうということもあり得ます。

まずは加害者側の弁護士と話しをしてみて、その弁護士と話したくない、信じられない、と感じたらご自身も弁護士をつけるという判断をするのが良いと思います。

お困りの際は是非ご相談ください

刑事事件は、スピードが命です。家族や大切な方が逮捕されてしまったなど、お困りの方はなるべく早めにご相談ください。

より詳しい解説は下記の動画をご覧ください。