犯行を否認!不起訴処分を得るために行った弁護活動を解説します
今回は、実際に弊所の弁護士が担当した刑事事件の解決事例をご紹介します。
事案概要
都内の高級スーパーで、外国人が窃盗で逮捕された案件です。
19時ごろ、旅行で日本に遊びに来ていた外国人が、ウイスキー1瓶を鞄に入れて会計せずに店内から出ようとしたところを店員に取り押さえられました。その後、警察に引き渡されて逮捕されました。
被疑罪名は、窃盗罪です。
逮捕から2日目の弁護活動の内容
逮捕されたのが夜だったので、翌日の午前中に警察署から弊所に連絡がありました。通訳人を手配し、昼過ぎに接見に行って、弁護活動を開始しました。
ご依頼者様としては、確かにウイスキーをバッグに入れたとのことでした。
しかし、その後に、その日の晩御飯を考えたり、娘や孫へのお土産を考えながら店内を歩いていたところ、バッグにウイスキーを入れたことを忘れてしまい、そのまま店を出てしまったとのことです。つまり、盗む意思(犯意・故意)はなかったということでした。
犯行を否認している場合の対応方針
ご本人が犯意を否定している場合、大きくは以下の2パターンの弁護方針をお伝えします。
一つ目は、確かに盗むつもりはなかったが、争ってしまうと、長くなり難しくなるので、戦略上あえて罪を認め、早く示談して、早く身柄を解放してもらうという方法です。
この場合、罪を認めていますから、罰金などの処分が下る可能性はありますが、ウイスキー1本を盗んだということに対する罰なので、多くても20万円ぐらいの罰金で済むことが多いです。
今回の場合ですと、この一つ目の方法を取れば、元々取っていた飛行機のチケットで帰国できる可能性もあると伝えました。
二つ目は、やっていないものはやっていないと犯意を否認し、無罪を主張する方法です。
この方法はいばらの道です。検察もしっかり捜査をすることになるので、少なくとも1ヶ月弱は身柄が解放されない可能性が高いです。
また、起訴されて裁判になった場合、日本で裁判が開かれて犯罪成立を審理することになるので、事件が完全に終わるまでは母国に帰れない可能性もあります。
さらに、捜査段階のみならず、裁判段階の弁護士費用もかかるので、仮に無罪を証明できたとしても、時間も、労力も、費用も、こちらの方が苦しい状況になる可能性が高いです。
今回は、ご依頼者様の意見を尊重し、二つ目の犯意を否認して無罪主張する弁護方針で進めていくことにしました。
どちらの方法で進めるにしても、まずはご本人の身柄解放を目指すのが最優先です。
身柄解放までの詳しい解説は以下のコラムをご覧ください。
2024年8月2日掲載コラム『勾留決定したのに2日後に釈放!外国人の窃盗事件』
このコラムでは、身柄解放後の弁護活動について詳しく解説します。
身柄が解放された後の弁護活動
身柄が解放されてからの弁護士の主な活動は、主に以下の3つです。
①母国にいる被疑者の知人に上申書を作成してもらい、送ってもらいました。
今回は、居住地域の議員、居住地域の公立病院の副院長、居住地域の地方裁判所の副長官、居住地域の大学教授など、名だたる方々から書面を作成いただけました。
上申書の内容は、被疑者とどういう関係で、被疑者がどういう人で、被疑者が窃盗で逮捕されたことについてどのように思うか等を書いていただきました。
実際の上申書(翻訳版)は以下のようなものです。
②本人に、毎日、自分が思っていること、警察・検察・裁判所・ウイスキーを盗むかたちになってしまったお店に対して、伝えたいことを書いてもらいました。できるだけ毎日、内容が同じ部分があっても良いので、なるべく多く書いてもらうようお願いをしました。
③検察官の取り調べの前に、検察官が何を聞いてくるか、その質問の狙いは何かなど、依頼者にメモを渡して、取り調べの対応方法をアドバイスしました。
結果、不起訴処分で終えることができました
依頼者様にも前科がつくことなく、事件を終えることができました。
不起訴処分が決まるまでは何日くらい?
今回は、本人の身柄が解放されてから、およそ2週間で不起訴処分が出ました。
この間は、身柄は解放されていますが、日本に滞在していなくてはなりません。
お困りの際は是非ご相談ください
刑事事件は、スピードが命です。家族や大切な方が逮捕されてしまったなど、お困りの方はなるべく早めにご相談ください。
より詳しい解説は下記の動画をご覧ください。